いなばや通信No.5(一手間一工夫)
効率よく炭火を使うには、同じ種類の炭を使うのが良いのか?それともいろいろ混ぜて使ったほうが良いのか?とよく尋ねられます。炭の使用方法の種類は単純に9種類の組み合わせ方法があります。(国産備長炭のみ*国産オガ炭のみ*外国産備長炭のみ*外国オガ単のみ*国産備長炭と外国備長炭*国産備長炭と国産オガ炭の併用*国産備長炭と外国オガ炭の併用*外国備長炭と国産オガ炭併用*外国備長炭と外国オガ炭の併用)また、産地等の区分もいれるとそれ以上の多数の組み合わせができます。一般に国産備長炭は外国の備長炭より火力があります。
また、国産のオガ炭は外国のオガ炭に比べ火力があり灰の量が少ないと言はれています。
1998年当時外国備長炭を使い2018年(コロナ危機前)には国産備長炭とオガ炭を併用して使われている同じ店で、同じ焼台を使われてるお店の3月、4月、5月の三か月の使用量のグラフ資料が以下です。
※お店が炭を中国備長炭から国産備長炭とオガ炭に変更した理由は中国備長炭がよく爆釣(ばくちょう)するのでオープンキッチンの店内ではお客様に怪我をさせる可能性があったため。
上記の使用量から備長炭のみ使用しているより、オガ炭を併用して使用するほうが月平均で43.3kgも使用量が減少しています。
なぜ使用量が減ったのでしょうか?あくまでも仮説ですが、⑴国産備長炭は、外国備長炭より強い火力があるので、中国備長炭の使用量以下の国産備長炭の使用量で済んでしまう(お店の中には、忙しい時間帯は国産備長炭を使うが暇な時間帯は外国の備長炭を使うと言われる方もいます。)。⑵オガ炭は火が点くのが早いので緩急つけやすいので使用量が減った。等などいろいろな考えられます。効率的な使用をして頂ければ経費削減につながります。ご参考になればと思います
一級ファイナンシャルプランニング技能士*CFP🄬藤代和宏
いなばや通信(一手間一工夫)NO4(老後資金)
老後資金対策のポイント
個人飲食店を経営していると、日々の業務に追われ、ついつい老後の準備が後回しになりがちです。しかし、65歳を過ぎると体力が衰え、病院通いが増えたり、介護が必要になったりと収入が減る可能性があります。そこで、計画的な老後資金対策が重要です。
1. 老後資金の目安と国民年金
- 老後資金の目安
夫婦2人の場合、65歳から85歳までの生活資金の一つの目安は約6,500万円です。 - 国民年金の受給例
国民年金を40年間全額納付した場合、1人あたり年間約85万円が受給できると仮定すると、
夫婦で20年間受給すると合計で約3,400万円となります。
老後の資金として約6,500万円必要な場合、国民年金だけでは約3,100万円不足してしまうため、他の対策が必要です。
2. 付加年金でさらにプラス
付加年金は、通常の国民年金に加え、月々追加の拠出で年金額をアップできる制度です。
- シミュレーション例(仮定)
たとえば、月々500円の追加拠出で40年間続けると、夫婦合わせて約240万円の上乗せ効果が期待できます。
※実際の金額は、最新の制度改正内容をもとに確認してください。
3. 小規模企業共済の活用
小規模企業共済は、経営が軌道に乗った段階で、次のようなメリットがある制度です。
- 拠出金額
月額1,000円から、500円単位で最大70,000円まで拠出可能 - メリット
・退職時や事業譲渡時に掛金と運用利息を受け取れる
・掛金が全額所得控除(損金算入)になる
・必要時には貸付制度も利用できる
・事業承継時にも活用可能
4. 国民年金基金も検討
国民年金基金では、さらに老後の年金額を補強できます。
- 特徴
・最高月額70,000円まで拠出可能
・掛金は全額所得控除の対象
・若くして不測の事態があった場合、遺族に一時金または年金が支給される
5. 経営が厳しい時の免除制度
経営状況が厳しい場合、国民年金の免除制度(全額免除、半額免除、多段階免除)を活用することもできます。
- 注意点
免除を受けると将来の遺族年金や障害年金が減額される可能性があるため、最低限の加入状態を維持することが大切です。
6. 年金受給の繰り下げも選択肢
個人飲食店経営者は定年がないため、できるだけ働き続けることが可能です。そのため、年金の受給開始を繰り下げることで、受給額を増やす方法もあります。
- 例
・68歳から受給を開始すると、受給額が約1.25倍に
・70歳から受給を開始すると、約1.42倍に増額される
まとめ
老後資金の準備は、以下のような多角的アプローチで進めるのが効果的です。
- 国民年金の基本給付(40年間全額納付で約3,400万円)
- 付加年金による追加拠出
- 小規模企業共済や国民年金基金の活用
- 経営が厳しいときには免除制度の活用
- 働ける間は年金受給の繰り下げを選択する
これらの制度を、事業の状況やライフプランに合わせて上手に組み合わせることで、将来の安心に繋げることができます。なお、制度の詳細や最新の改正内容については、専門家にご相談の上、最新情報を確認してください。
いなばや通信(一手間一工夫)No3-1
(備長炭爆跳対策)
七輪を使い炭火の上手な扱い方について
焼鳥屋や鰻屋の店先で、沸騰したやかんを載せた七輪を見かけたことはありませんか?
この七輪は、炭火がタレなどで立ち消えしてしまったとき、すぐに使える状態の炭を準備するために置かれています。さらに、炭を事前に起こしておくことで、着火時に発生する「爆跳(ばくちょう)」によるお客様への危害や店内の事故を防ぐ役割も果たしています。
天然備長炭の爆跳を防ぐ着火方法
天然備長炭は湿気を吸いやすい性質があり、湿った状態で急激に加熱すると内部の水分が高圧の蒸気となり、炭が破裂して飛び散る「爆跳」を引き起こすことがあります。
この現象を防ぐため、以下のような方法がおすすめです。
1. 一斗缶を使った安全な着火方法
老舗の鰻屋などでは、一斗缶を利用して安全に炭を着火させています。方法は次の通りです:
1.消炭やオガ炭を焼台に置き、これを種火とします。
2.種火の上に一斗缶をかぶせ、備長炭を缶の中に入れます。
3.種火で缶内の空気が温まり、上昇気流が発生して炭が乾燥。湿気が飛び、備長炭が自然発火します。
一斗缶は、もし爆跳が起きても飛び散りを防ぐ役割を果たします。
2. 煙突蓋付き火起こしの利用
一斗缶より安全性が高いのが「煙突蓋付き火起こし」です。以下の手順で使用します:
1.ガスコンロの上に煙突蓋付き火起こしを置きます。
2.火起こし内にオガ炭や火消し炭を敷き、その上に備長炭を載せます。
3.ガスを点火し、下の炭が着火したらガスを消します。
4.あとは自然に備長炭が着火するのを待つだけです。
煙突効果で火起こし内の温度が効率的に上昇し、約40~50分で着火します。さらに煙突構造が飛び散りを防ぎます。
注意事項
• 七輪や火起こしを使用する際は十分に安全を確保してください。
• 火災や事故に関しては、自己責任でご対応をお願いします。
天然備長炭の安全な使用法を取り入れ、安心して炭火調理をお楽しみください。
いなばや通信(一手間一工夫)No.3-2
(炭火焼き焼台の工夫)
グリルキッチンの焼き網にひと工夫
欧風料理店の備長炭焼きグリルキッチンでは、焼き網が肉用と魚用で分けられているのをご存じですか?
それぞれの用途に応じた工夫が施されています。
肉用の焼き網:U字型の秘密
脂分が多い肉料理用の焼き網には、U字型のデザインが採用されているお店があります。
この形状には以下のような利点があります:
• 肉から落ちた脂がU字の溝を通って受け皿に流れ込む仕組み。
• 余分な脂が炭火に直接触れるのを防ぎ、煙や炎が立ち上がるのを抑える。
これにより、肉本来の風味を活かしながら安全に焼き上げることができます。
魚用の焼き網:丸型の工夫
一方、脂分が少なく皮が剥がれやすい魚料理には丸型の焼き網が適しています。
丸型の焼き網は、魚を均等に加熱し、皮が網にくっつきにくい特徴があります。
魚を美しく、そしてふっくらと焼き上げるのに最適です。
焼き網の形状にもひと手間を加えることで、料理の仕上がりが大きく変わります。
ぜひ用途に合わせた焼き網の使い分けを参考にしてください!
いなばや通信(一手間一工夫)
No.2荒物の活用
「荒物」は、お値打ち価格で、高カロリーの熱量が得られるという特徴があります。「荒物」を上手く活用しているお店の事例を紹介させていただきます。
<事例1>
これまで、営業前に1時間以上かけて焼台を温めていましたが、「荒物」を活用することで焼台
の準備に時間がかからなくなりました。
具体的には、焼台の下部に種火としての荒物を敷きます。その上に、前日に使用した消炭敷きます。そして、最上層に長物の備長炭をのせます。最下層にある「荒物」は、消炭を早く点火させ、長物備長炭をゆっくりと点火させる役割があります。最上層にある備長炭がゆっくりと温められることで、徐々に湿気水分が蒸発し、「爆跳」を防ぐことができます。
- 「焼台」準備時間の短縮
- 削減した時間を他の作業時間に充てることで生産性の向上
- 燃料費の削減
が実現できます。
<事例2>
「荒物」を焼台に隙間なく詰め込むことで、焦げの原因となる炎が起きにくい工夫をしています。この状態を3時間以上維持し、ランチ営業をおこなっています。焦げの防止と焼きムラ対策
を講じることで、料理の品質が向上し、顧客満足の向上が実現しています。
<事例3>
「荒物」は長物備長炭と比べ、空気に触れる表面が多い為、高カロリーの熱量が得られます。
これまで、わざわざ長物を短く使用していましたが「荒物」を活用することにしました。
上層・中央部「荒物」を詰め込み、これを囲むように周辺に長物を配置する工夫をしています。
焼き物に必要な熱量を適度に確保し、周囲に長物を使用することで長時間、良好な環境を維持しています。火力が強い「荒物」で、焼台全体の温度を上げることで、外はパリパリ、中はジューシーな焼き物に仕上げることが実現します。
いなばや通信(一手間一工夫)NO.1
(炭火焼きの美味しい理由)
国産天然備長炭の凄い理由
うなぎ、焼き鳥、魚、肉等の美味しい焼き物料理に、もはや欠くことのできない燃料、備長炭。独特のまろやかな炎と温度が、たんぱく質の分解を防ぎ、肉を美味しくするためのアミノ酸を形成します。
国産天然備長炭は、遠赤外線の放射熱が食欲を誘うグルタミン酸を増加させ、熱い空気で焼くことで、焼き物を美味しくさせます。
例えば
厚さ2㎝の生肉を高温で焼くと、焼き上がり時には、1.6㎝になります。
(ちなみに、低温の炭で焼くと1.3㎝になります。※高温時のボリュームが減少)
それは焼き物の水分(肉汁)が、熱を当てるといったん焼き物の中心に集められ、休ませる間に再び外に向かってじわじわ浸透していくからです。焼き物の繊維が焼けた部分には
肉汁は戻らないので最初に薄く綺麗に焼壁を作ってそれから均一に火を入れていくからです。(その時の肉の芯温は58℃前後がべすとです。)
その薄く綺麗な焼き壁を作るために高温の国産天然備長炭を使用するのが一番です。
また、焼物の余分な水分(肉汁)が火に炙られ落ち高温の炭火に当たることで、弾かれた
水蒸気として焼き物に噴霧させ表面を瞬時にコーティングすることで、焼き物の表面に付着して旨味成分の香ばしさを醸し出します。(炭火の味)
低温の炭火は灰も多く旨味成分が落ちた時、灰に吸収されてしまい水蒸気の量も減ります。そのため香ばしさも減ります。また、低温で焼くと肉の繊維が縮みふっくらジーュシー感が損なわれます。
焼く素材によって美味しさを引き出す方法が違いがあります。例えば水分量が少なく繊維がが細かい肉はタンパク質が速く固まるので、肉汁が出にくいし、肉汁が出た部分には別の肉汁が入り込んでくるので、高温で焼き込むことで美味しさが増します。水分量が多く繊維が粗い肉は、細胞が肉汁をキープできないので、低温で焼くとパサパサになります。
素材を活かすためには、高温の国産備長炭をお薦めします。
いなばや商店